「ガ類と他の生物との相互作用」を軸に(広すぎ…?)、研究を行っています。

(業務では、作物体内の残留農薬の分析等を行っています)

 

夜行性ガ類と植物(花)、捕食者の相互関係

 

 昆虫は訪花することで、花から蜜や花粉などの餌資源を得ており、植物は花粉が媒介されます。また、訪花昆虫を狙って、捕食者が花上で待ち伏せし、捕食することがあります。訪花昆虫は植物の繁殖に正の影響を与えているため、それらを食べる捕食者は植物に対して、間接的に負の影響を与えていると言えます。

 あまり知られていないですが、夜行性ガ類も少なからず訪花し、花粉媒介に貢献しています。また、夜間にもカマキリ類などの捕食者が、ガ類を始めとする訪花者を捕食することがわかってきました (Sakagami et al. 2021)。これらの捕食圧の昼夜の比較や、ガ類の捕食回避機構に興味をもっており、研究を(細々と)行っています。

 また、ガ類と植物(花)に限った文脈でも、どのような植物にガ類が訪花するのか、訪花植物の花形質とガ類の口吻形態にどのような関係があるのかといったテーマにも興味をもっており、研究を進めています。

 

 

ガ類幼虫(主に小蛾類)の生活史解明

 

 ガ類幼虫が植物を食べ、植物が防御するという関係は、両者の進化において、上記の花–ガ類成虫の関係以上にインパクトがある事象だと思います。

 ガ類は光にたくさん誘引されるので、灯火の周りを探索すれば様々な種類を見つけることができますが、彼らが幼虫のときにどのような植物を食べ、どのように生活しているかについて不明な種が少なからず存在しています。このような生活史の理解は、ガ類と植物がどのように関係をもってきたかを知る上では、欠かせない知見だと考えられます。このようなガ類の生活史を解明するため、野外で幼虫の採集・飼育を行っています。

 調査で得られたもののうち、ヒメハマキガ類の未記載種については分類学的な処置も進めています (Sakagami 2023)。また、飼育サンプルからは寄生者も得られるので、寄生者との関係についても興味をもっています。